住まい選びの豆知識

都市圏に潜む「限界集落」の真実に迫る!

お悩みカテゴリー: エリアの選び方
キーワード:
2021.01.20 2021.06.03

genkaishuraku00
「限界集落」という言葉をご存知ですか?

この言葉を聞くと、とんでもない山奥や都会からはほど遠い田舎の地域をイメージするのではないでしょうか?

でも実は、人口が流入している首都圏の中の、とある地域でも、若い人が一度出たきり戻ってこず、人口が減少し続けているところが増えているんです。

現在、日本でいちばん人口増加率が高い首都圏エリアでも、このようなエリアは増えていますし、こういった限界集落エリアの人口減少は減少率が年々大きくなっているのです。

そしてこういった人口減少エリアは当然、地価が下落して物件価格も下がっています。

つまり大局的には人口増加エリアに位置していても、局所的には減少し続けているエリアは存在するということです。こうしたエリアの二極化が進行して、都市部の地価下落エリアは他の都市圏エリアでもこのような「都市圏の限界集落エリア」は必ず存在しています。

-目 次-

1.都市圏の限界集落はなぜ生まれたか?

2.日本人の価値観の変化が生んだ都市圏の限界集落

2-1.豊かな国アメリカの郊外生活が貧しい日本人の憧れとなった時代

2-2.足元の都市部での劣悪な生活からの逃避願望

2-3.郊外の住宅街の濫造期に突入!

2-4.急激な逆回転!人口の都心回帰現象が勃発!

3.広い庭はほんとうに憧れですか?

4.限界集落の夢の活用法

5.空き家活用の事例―とある首都圏の限界集落

1. 都市圏の限界集落はなぜ生まれたか?

ではなぜ、人口が増加傾向で地価も上昇傾向であるはずの都市圏エリアにおいて、このような限界集落が生まれるのでしょうか。いくつか原因を挙げて検証していきたいと思います。

まず、都市圏で人口が増加しているエリアの特徴としては、下記のことが挙げられます。

勤務先が集まる都心に近くて出やすい沿線、駅

駅に出やすい、徒歩圏

スーパーやコンビニなどの商業施設が充実

徒歩や自転車などでの移動が楽な地形

・・・など、利便性が高いことが共通の条件となっていることが多いです。

もちろん、横浜の山手や鎌倉など一部例外はありますが、このような地域はブランド力が大変強いため、ごく特殊なケースと認識しておいて構いません。

つまり、人口増加エリアの共通条件を満たしていない、下記のような特徴を有するエリアは、概して都市圏の限界集落であるケースが多く見受けられます。

最寄駅からバス便でしかも本数も1時間に1本以下と少ない

駅徒歩圏でも坂がきついか、階段しかなく徒歩以外の移動手段が無い

スーパーやコンビニが近くに無い

2.日本人の価値観の変化が生んだ都市圏の限界集落

ではどうして、一見して便利な都市圏にこのような不便な住宅街が存在するのでしょうか。それは日本人の価値観の変化にそのヒントがあります。

2-1.豊かな国アメリカの郊外生活が貧しい日本人の憧れとなった時代

戦後、一面の焦土と化した日本各地の都市圏には、バラックという些末な仮設住宅が立ち並び劣悪な住環境でした。

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(バラックのイメージ。屋根の上から見た様子。ウガンダにて撮影:山田)

それが1955年から1970年の「高度成長期」と言われるたった15年間で一変します。

飛躍的な経済成長をけん引したのは工業で、この時は都心近くに小さな町工場から中規模な工場まで林立しました。

こうした都心部の工場群からは日々ばい煙が排出され、さながら今の中国の都市のようにPM2.5どころではない深刻な大気汚染に日本のあらゆる都市圏が見舞われていました。

光化学スモッグで体育の時間に子どもが倒れるようなことも日常茶飯事だったようです。

また、3種の神器の一つに数えられ高嶺の花だったテレビが普及してくると、ブラウン管の向こうに映るアメリカのホームドラマが豊かさの象徴として、当時の日本人の羨望の的になりました。

大きなアメ車が格納できるガレージと、子どもが駆け回れる広々とした芝生の庭、そして広くて区割りされた街路といった郊外生活がアメリカで確立されていったのは、そもそもアメリカの都市の形成が日本と異なっていたからです。

アメリカは個人主義の国を象徴するように公共交通に頼らず、それぞれが車で通勤することを前提とした都市形成だったため、車が容易に駐車でき、移動できるような、ある程度土地に余裕のある郊外から都心のオフィスに通う形態が合理的とされたことによります。

2-2.足元の都市部での劣悪な生活からの逃避願望

このような郊外に住むアメリカンライフは、当時の劣悪な都市環境から逃れたい心理とと相まって、バラックから何とか下町の団地に住めるようになっていた人たちに、さらなる郊外の広い持家へのステップアップという、強烈な所有欲を掻き立てたのです。

この時期のグループサウンズの歌詞にも、その時代の感性が色濃く歌われています。たとえば、70年代に一世を風靡した「チューリップ」というグループは、その名も『田舎へ引っ越そう』というタイトルでこのような歌詞を歌っていました。

♪~小金を貯めて おんぼろバスを買い込んで 仲間をみんな集めて 一緒に田舎へ引っ越そう~♪ 青い空の色は褪せて 光さえも届きはしない こんな街はもう住めやしない~♪

(作詞・作曲 財津和夫。1972年。チューリップ『田舎へ引っ越そう』からの引用)

2-3.郊外の住宅街の濫造期に突入!

・・・ということで子どもを良い環境で育てたいという当時のファミリー世代の思いと、住宅産業と建設業の拡充による雇用創出と経済成長を見込んだ国の思惑が一致して、既存の人里から離れた山や森を切り開いて、緑豊かで空気が綺麗な郊外住宅群が出現したということです。

さらに、高度成長期以降もバブル景気が弾けるまで、「日本の土地の値段は下がらない」という土地神話のもとに都市圏も例外なく一様に地価が上昇した結果、とても都心で家を買える価格ではなくなり、比較的安価な郊外の物件が求められたという、経済的な背景も郊外生活者の増加を後押しした経緯があります。

2-4.急激な逆回転!人口の都心回帰現象が勃発!

都市圏の郊外部がこのまま堅調に成熟していくかと思われる中、バブル経済崩壊後にその流れが一変し、「都心回帰」という逆回転が起こります。

その原因は二つあります。

一つは地価の大幅な下落により都心部でも住宅が購入しやすくなったことです。

もう一つは円高による工場の海外移転など、産業の空洞化により、いつの間にか都心部の空気は綺麗になり、下水道などの都市インフラも整備されて川は魚が戻り、住環境が改善されていました。

そのうえ、もともと下町だったこともありスーパーやコンビニなどの商業施設や、駅によっては商店街も充実していて便利なうえに楽しい空間が広がっていたのです!

郊外に家を求めた団塊の世代ももう高齢者となり、その子ども世代は一度郊外を出たっきり戻らなくなりました。というのも、この世代は実は親世代があまり郊外生活を楽しんでいないことを肌で体感してきたからなのです。

3.広い庭はほんとうに憧れですか?

事実、私のクライアントでも30歳前後の住宅購入に意欲的な世代のご夫婦からは、

「草むしりや庭木の手入れが大変だから、広い庭はいらない」

「夫婦共働きだから、できるだけ職場に近い沿線で駅に近いほうがいい」

「でも都心部でも公園が充実しているから、別に自然を求めて郊外に行く必要
がない」

「車は乗ったときに夏暑くて冬寒いし、維持費もかかるから持たずに住む都心がいい」

・・・と、このようなライフスタイルに関する大幅な価値観の変化の結果、郊外の広い庭のある物件の価値というのは、急激に目減りしてしまったといって良いでしょう。

結果、首都圏でも郊外部の大部分ではバブル崩壊後に地価下落傾向に歯止めがかからず、かえって拍車がかかっているのです。

4.限界集落の夢の活用法

こうした時代の流れに伴う都市環境の変化と、ライフスタイルに対する価値観の変化が生み出した都市圏の限界集落ですが、考え方を180度転換すると、とても魅力的な「宝の山」に変貌を遂げることになります。

そもそも、そこに生活して遠方の都心の勤務地まで毎日通うから不便なだけですので、週末だけ住んで趣味やレジャーを実現するフィールドとしてセカンドハウス的に捉えれば、豊かな自然と広い空間はとても魅力的に映るのではないでしょうか。

もともと、別荘というとお金持ちが持つ2軒目の不動産、という感覚でしたが、これは土地神話で日本全国の土地が例外無く値上がり続けることが大前提で成り立つライフスタイルです。

現在の限界集落の物件は基本的に資産下落するエリアですので、所有しても資産形成に寄与しません。

ですので、こういった限界集落の物件を、夢を具現化するセカンドハウスとして活用したい場合、賃貸がおすすめです。

賃貸として流通している場合もありますが、気になるエリアを実際に歩いてみて、いいなと思う空き家を見つけたら、まずは地元の市役所に相談をしてみると良いと思います。

6.空き家活用の事例―とある首都圏の限界集落

東京都心から電車で約一時間の神奈川県の某市に、「空き家バンク」という制度があるのをご存知ですか?

実はこのエリアは、比較的都心に近いにも関わらずここ最近、人口流出が著しくなってきています。

その対策として市役所が主導して、空き家となった家を再生して低家賃で借りられるようにする施策を行っています。

たとえば、ここに登録されている物件のスペックはこんな感じです。

最寄駅徒歩10分 土地面積 280㎡  建物面積 90㎡  家賃 20,000円/月

最寄り駅徒歩11分 土地面積 208㎡  建物面積 13㎡  家賃 30,000円/月

・・・どうでしたか?思い切ってすごく駅近に自宅を購入して、車を手放した分、月5~6万円ほど浮いたお金で都心近郊の田舎物件を安く借りて、そこでリタイア後にと夢見ていた田舎暮らしを思いっきり満喫してはいかがでしょうか(^^)

住まい選びに必要なのは、情報ではなく「思考法」

そもそも住まい選びに必要なのは知識でも情報でもない、どう選べばいいかの判断基準、つまり思考法です。
9割が知らずに買っている不動産の真実をわかりやすく伝え、家をさがすすべての人が正しい思考法のもと、最適な判断をしていただくため、日々発信していきます。

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