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東海道53次 4日目(三島宿~富士川)

2015年5月20日

午前4時、起床。久しぶりの布団の上での目覚めは、格別でした。何しろ、暖かくて、体も痛くありません。離れがたい気持ちを抑えつつ、出発です。

外に出ると、今日も雨です。予報ではここ1週間はずっと雨ですので、静岡県を歩いている間に日の光を拝むことは無さそうです。富士山が見られないことが、すごく残念に感じました。

50分歩いて10分休む、60分のサイクルが一定のリズムを刻むようになりました。起きてから眠るまでの18時間にやることといえば、歩くことだけですので、雨だと景色を楽しむこともできず、ただただ、退屈でした。

修行―そう、もはやこれは旅では無いことを実感しました。決めた目標に向かって、何も考えずにとにかく、歩く。このことに何の意味があるのか。10代最後の節目の時期に、このことを経験していることは何らかの意図があったのでしょうか。

雨の中、うつむきながら歩いている50分間、考えていることはどぶ板を数えて、次の休憩に何をするかです。当時はキャスターマイルドという、タバコを吸っていたので、休憩のときの一服が何よりの楽しみでした。

沼津~原~富士と歩き続けると、大きな富士川が見えてきました。ここは江戸時代は船でしか渡れず、天気が悪いと対岸に渡れない難所でした。いまでは立派な橋が架かっていて、川幅が広いので渡りきるまでにたしか20分以上かかった記憶があります。

午後6時をまわり、暗くなったところで、富士川駅近くに定食屋の明かりが見えました。お腹も空いたので入って二人ともカツ丼を注文しました。温かな湯気とともに、ダシの香りが充満してたまらず一気に掻き込みました。胃袋へ一直線です。

食べ終わって安堵の中、お茶をいただいていると、気の良いお店のおばあちゃんがどこから来てどこへ行くのかと興味津々に聞いてきたので、東京から京都まで歩いていることを告げると、すごく驚いた様子でした。

「雨も酷いし、今日はここに泊まればいいらー」

定食屋

静岡弁が優しく響きます。この日は由比宿までもう少し、歩かなくてはなりませんでしたが、断る理由がありませんでした。私たちは明日、早起きしてその分を歩くことにして、明かりを落とした4畳半の座敷を借りて、その日は眠りました。

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