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東海道53次 15日目(京都 三条大橋へ)

2015年5月24日

東京・日本橋から京都・三条大橋を目指した徒歩の旅も、いよいよ最終日を迎えました。琵琶湖畔の栗東から草津を通り大津を抜けて京都市山科まで来ると、嫌でもテンションが上がってきました。「いよいよ、京都だ。もう、歩かなくて良いんだ。」

路面電車と並走しながら、足取りがどんどん、軽くなるのがわかります。ペースが速くなってくると、相棒に「焦るな」となだめられながら、一定のペースに戻されるのです。思わぬ怪我やアクシデントは、平常心を欠くと起こることを知っていたのでしょう。

山科から三条通の坂を上りきると、京都盆地に入り、平らになりました。道幅も広くなり、華やかな都の雰囲気を肌で感じながらはやる気持ちを抑え、ゆっくりと一定の歩幅とペースを守りながら、眼前に迫るゴールを目指します。とうとう、三条大橋に着きました。

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「終わった。もう、歩かなくていい。これからは毎日、あったかい布団で寝られる。」

せっかくの京都ですから、さすがに今夜は良いホテルに泊まろう、ということで駅に向かって歩きながらホテルを探しました。すると「あいにく今夜は満室でございます。」と一軒一軒、入るたびに断られ続けました。

時は1993年3月20日の日曜日。まだ桜の季節でもありませんでした。「こんなに満室になるものなのかな」と思いながら相棒と我が身を見合うと、伸びきったひげ面とぼさぼさの髪の毛がもしかして・・・とも感じました。

断られ続けて気が付くと京都駅まで来ていました。日が暮れはじめていたので「新幹線で帰ろうか」ということになりました。切符を買って、出発時間までの小一時間、京都駅付近の居酒屋でささやかな祝杯を上げました。

新幹線は走り始めたばかりの「のぞみ」でした。東京まではたったの2時間30分です。車窓からの景色は速すぎて良くわかりませんでした。旅の道中の風景の記憶は、移動する速さに反比例することを体感した瞬間でした。

改めてこの旅を振り返ると、徒歩しか手段の無かった当時よりも電車や車などの交通手段があるので、途中でやめてしまう誘惑が多かった気がします。高速移動手段が発達した現代の、徒歩での長距離の旅ははたから見るとまるで意味は無いのかもしれません。

その後、相棒は大学院を出て研究職で世界を飛び回っています。ですのでほとんど、会う機会はありませんがたまに会うと、時の隔たりを感じさせない「気の置けない」いまでも唯一無二の親友なんです。(おわり)

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