要注意!「オリンピックで値上がる前に」という住宅購入
2021年1月20日
2021年1月20日
このところ、相談の中でよく聞く言葉があります。それは「モデルルームや住宅展示場や不動産会社で『オリンピックで値上がりを続けているから、早く買ったほうがお得』と言われたのですが、これって本当なんですか?」
本当かどうか?それにはまず、この言葉の本質を考えてみましょう。
では逆にオリンピックだとどうして不動産の値段が上がるのでしょうか。それには、オリンピックに向けて起こると想定されることを考えてみることにします。
これは極めて限定的ではないでしょうか。施設と言ってもたかが数か所に過ぎないのに、建設業界の人件費を底上げするほどの影響は考えにくいです。
ただ、全産業でこのところ人件費の高騰が起きていますが、これは日本全体の労働市場が人手が不足しているからで、オリンピックが原因ではないでしょう。
これもふわふわとして、掴みどころがない論理ですね。なぜ?と聞いても答えられない、単なる「なんとなく」といったイメージではないでしょうか。私も、上がる理由がまったくわかりません。
実は私のところに相談に来るクライアントには、マンション購入は極めて慎重にするようにアドヴァイスしています。
というのも、マンション市場は国内外から投資マネーが入りすぎて、価格が高騰して一般の生活者では買えない状態になっているのです。
2016年12月14日に不動産経済研究所から発表されたマンション市場動向調査によると、マンションの発売戸数は前年同月比22.7%も減った、2701戸だったそうです。
この数字だけだとわかりにくいので比べると、なんと1975年、41年以来の低水準です!
1975年という年は、実はものすごく重い意味を含んでいます。それは1974年の第二次オイルショックの翌年ですから、全国的にモノが売れず、不況だった時代ということです。
その時代と同レベルで、マンションが売れなくなっているのです。
マンション市場について詳しく知りたい方は、『後悔しないマイホーム購入「マンションVS一戸建て」選び方』を参照してください。
世の中のあらゆるモノの値段は、「買いたい人」と「売りたいモノ」の数で決まります。つまり、売っているモノの数よりも、買いたい人が多くなれば値段が上がる、ということです。
よって「オリンピックで値段が上がる」には、オリンピックで家を買う人が増えなければなりません。
でもオリンピックって、ほんの1~2か月のイベントですよね。お祭りのようなものが、どうして家の値段に影響するのでしょうか?
たしかに、景気が良くなることを見込んで不動産市場に投資マネーが流入することはあるでしょうが、あなたは投資をするために家を買うのではないのではないでしょうか?
オリンピックというお祭りイベントで家を買うタイミングを決めることは、人生で一番大きなお買い物を決める上では正しい選択とは言えません。
それよりもご家族のライフスタイルや家計の生活設計によって、最適なタイミングで購入するのがおすすめです。
時代の雰囲気に流されず、自分軸で納得のいく住宅購入を
人生のあらゆることに言えるのですが、自分のペースが乱れていると、何をやっても失敗します。
この記事で伝えたかったことは、ここにたどり着いている時点で、あなたはこの言葉に疑問や不安を抱いているということです。
おそらく住宅業界の営業マンはこれ以外にも、「低金利の今が!」や「消費税が上がる前に!」や「ほかの人に買われてしまう前に!」などさまざまな言葉で、あなたをあなたを煽ってくるでしょう。
そうです。結局、理由なんてなんでも良くて、早く売りたいだけなんです。
あなたは、決してあなたのためを思って発せられたのではない、ノルマを課せられた営業マンの自己満足に付き合う必要は一切ありません。仮に、あなたが目の前の営業マンを信頼していて、ほんとうにあなたのためを思って発せられた言葉だったら、信じられるでしょう。
「ほんとうかな?」と疑った時点で、その言葉や情報にはまったく価値がありません。そんなものに惑わされて、自分のペースを見失っている時点で、あなたの住宅購入は失敗だと思うのです。
あなたには、営業マンのノルマを達成させるためではなく、ぜひあなた自身のために、あなたのたいせつな家族のために家を買っていただきたいです。
決して、相手の土俵に立つことの無いよう、しっかり自分の足で立って、楽しく住まい選びをしていただきたいと思います。