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失敗事例から学ぶ!必勝の住宅購入術

2021年1月20日

私のところに相談に来られるクライアントさんですが、実は購入前だけでなく、既に契約した後だったり、鍵を引き渡されて引越しが終わって住み始めた方もいらっしゃいます。割合としては、半々といったところでしょうか。

 

今回はちょっと趣向を変えて、購入後にどのようなお悩みが生じるか、具体的な事例を上げながら解決に向けた糸口を探っていってみたいと思います。

 

今回の記事は購入後の方だけではなく、購入前の方にもとても参考になると思いますので、ぜひ参考に読んでみてください。

 

■1. 住宅購入の失敗事例

まずは、紹介をご了承くださった、3名の方の事例をご覧ください。

【1-1.ネット検索から購入の悲劇】

K県にお住まいのSさん(仮名)は、持家(ローン有)のマンションが子どもの成長とともに手狭になってきたので、住み替えを考え始めました。テレビCMでおなじみの物件検索サイトに住所や電話番号などの個人情報登録して、閲覧をしていました。

 

お子さんが小学生ということで、慣れ親しんだ学区内で探したのですが、エリアがたいへん狭いために物件数が限られていました。その中で一つ、見てみたいものがあったので「資料請求」のボタンを押しました。

 

その直後、同じ物件を掲載していた複数の不動産会社からの電話が鳴りやみません。驚いたSさんは少し冷静さを欠いたまま、そのうちの一社の営業マンから「買う買わないは別として、軽い気持ちで構わないのでちょっと現地をご覧になりませんか」という誘いに乗ってしまいます。

 

その営業マンは一見、とても親切そうに「わざわざ会社まで来ていただかなくても、現地はご自宅の近くですから、ご自宅まで車でお迎えに上がりますよ」と言ってくれたので、Sさんは喜んでその言葉に甘えました。

 

そして問い合わせた物件を実際に見に行ってみたところ、ネット上で見た写真よりも暗くて日当たりが悪く、じめっとした印象だったのでSさんはがっかりしました。

 

そうしたところ、営業マンから「実はネットに掲載されていない、最近出たばかりのとっておきの一軒があります。それをご覧になりませんか?」と言われ、ちょっとした特別感からワクワクした感情が湧き、嬉々として再度、車に乗り込みました。

 

行ってみると、そこは角地で日当たりと通風がとても良くて、夫婦ですっかり舞い上がってしまいました。営業マンから「当社にFP(ファイナンシャル・プランナー)がいるので、実際に購入できるかを判定してみましょう!」と誘われるまま会社へと向かいました。

 

会社へ着くと、端正な顔立ちの男性が物腰柔らかな笑顔で出迎えてくれて、「営業課長」「宅地建物取引士」「ファイナンシャルプランナー」といった肩書の入った名刺を丁寧にSさんに渡します。

 

接客ブースに通されて資金計算をした、「購入しても大丈夫」という判定が出ます。Sさんは「FPさんがお墨付きを出してくれたから」と安心して、購入に向けてますます、テンションが上がりました。

 

そうした矢先、先ほど案内してくれた営業マンが慌てて入ってきて、「たいへんです。他の不動産会社で案内された方が、Sさんが気に入られたのと同じ物件に興味を示されているという情報が入りました。迷っていると先に買われてしまうかもしれません!」と言いました。

 

すると営業課長が間髪入れずに「Sさん、これはご提案ですが、本日このまま契約していただければ手付金も少額で、値引きもある程度交渉できそうです。売れてしまう前にご決断されてはいかがでしょうか?」と契約を勧めてきます。

 

すっかりその気になったSさんご夫妻は近所のコンビニで手付金を引き出して、そのまま契約となりました。が、家に帰って冷静になってみると、資金計画と言ってもA4のぺら紙一枚になぐ書きした程度。

 

自宅の売却も査定通り行くかもわからないのに契約したことが不安になり、私のところに相談に来られました。

 

【1-2.住宅展示場での悲劇】

S県にお住いのOさま(仮名)は、「子どもも生まれたしそろそろ家でも買おうかな。」と漠然とした気持ちで休日に住宅展示場へ行きました。

 

休日の展示場はヒーローショーなどの子ども向けのイベントや、お菓子やおもちゃのプレゼントなどが配られていて、とってもにぎやかで楽しげです。Oさん家族も若干、テンションが上がりつつ、テレビCMでも有名なA社のモデルハウスに入りました。

 

ドアを開けると「いらっしゃいませ」と爽やかな笑顔で営業マンがお出迎え。現実にはあり得ないほど広くて最新設備が揃った建物に、Oさん夫妻はテンションが上がります!「この家に住みたいな」言葉にせずとも、自然とそんな気持ちが湧いてきていました。

 

ひととおり建物内を見て回り終わったころ、「お疲れ様でした。最後にアンケートにお答えいただくと、お米券がもらえますよ。」と笑顔で言ったので、住所や電話番号を記入するアンケートを書いてその日は帰りました。

 

Oさんも意外というか、少し拍子抜けしたのは、営業マンがまったく売り込んでこなかったこと。好印象だったOさんのもとに後日、筆で宛名が書かれた封書が届きます。そうです。差出人はあの営業マンでした。

 

「先日は貴重な休日にご来場くださり、ありがとうございました。」という書き出しから始まる、直筆の丁寧な手紙にすっかりOさんは親しみと信頼の感情が沸き上がります。「建物も素敵だったし、また行ってみようかな。」ということで、次の週末もまたモデルルームへと出掛けました。

 

初回と違って、直筆の手紙を書いた営業マンに対して、打ち解けた雰囲気が醸し出されます。自然と見積もりの話になっていき、理想の間取りやオプションを組み込んでいくと、どんどん建物予算が増えていきました。

 

すると気が付いたら、当初住みたいと思っていた都心に近いエリアから相当離れた、現在のS県の駅からバス便の土地にたどり着いていました。営業マンに連れられてきてみると、そこは新しい街が作られ始めていて広くて芝生が綺麗な公園があります。

 

あとで知ったことですが、そこはA社が建築条件付きで売り出し中の分譲地です。建築条件というのは簡単に言うと「A社で建てること」という条件が付いて販売されている土地です。つまり、土地も建物もすべての利益が入る、A社にとって美味しい土地でした。

 

このまま夢見心地でいかれればよかったのですが、建物が完成して引っ越して住み始めてしばらく経ってみると、夫婦共働きなうえご主人は終電近くまで働いて、地元の駅に着くと最終バスが終わっているので30分歩いて家まで帰る、2時間通勤に疲れている現実に目覚めてしまいます。

 

せっかく、家族が笑顔になるために買ったはずの家が、平日は家族と会話する時間がまったくなくて、週末も疲れて寝ている状態に、奥様も子育てを一身に背負いつつ、自分もフルタイムで働いている状況にとうとう限界を感じてきました。

 

そこで私のところに相談に来られたのですが、もっと勤務先に近づくように住み替えようと査定してみて愕然とします。なんと3,000万円近い含み損が出てしまっていたのです!注文建築の見えない恐ろしさが、現実のものとして突き付けられる瞬間でした。

 

注文建築の資産価値について、もっと詳しく知りたい方は、『建売住宅 vs 注文住宅。もしものときに本当に安心なのは…』を参照してください。

【1-3.現地販売での悲劇】

T県在住のAさん(仮名)は結婚してから10数年、ずっと社宅住まいでしたが、いよいよ年齢制限でマイホームの購入を考えだす時期になりました。そうは言っても、期限は2年後ですから焦らずゆっくりと情報収集していくつもりでした。

 

ところが、ふっと立ち寄った家の近所に「好評売り出し中」と書かれたのぼりが立った一戸建があり、とある不動産会社が現地販売をしていました。

 

これもよくある誤解ですが、現地販売をしているのは、建物を建てた建築会社ではなく、そこから「ちゃんと売ってね」とお願いされた不動産仲介会社です。ですので、公平中立な立場ではまったくなくて、売主が有利になるような進め方をしてきます。

 

今回も御多分に漏れず、「オリンピックまで値上がりするから、2年後でいいと思っていても今が買い時」「限られたエリアで探しているなら、選んでいる余裕はない」「迷っていると買えない人なりますよ」という「買えないジプシー話」まで飛び出す始末です。

 

そうやって不安をあおられ続けているうちに、だんだんと疲れてきて家を買うワクワク感などは、もうほぼ消えていました。

 

冷静な判断を欠いたまま契約した後も、ローンを払えるかという不安や住み始めてからは間取りや耐震性など、さまざまな不満まで噴出してきたため、夜も寝られないほど悩んでとうとう、私のところへ相談をしてきました。

■2. 失敗事例から見えてくる、失敗の本質とは

ここまで、さまざまな失敗事例を見てきましたが、実はこれらから学べることが多々あります。これから購入される方も、購入後の方で住み替えを検討したい方も、どうぞ目を見開いてお読みいただければと思います。

 

【2-1.軽い気持ちで見に行ってしまった】

すべての事例に共通している点は、この「軽い気持ち」です。

 

「買うのはまだ先だから、見るだけ」という気持ちで、ネットで物件を探し始めたり、現地なぜ販売に飛び込んだり、住宅展示場をぶらぶらしてみるところから始まっています。

【2-2.いきなり営業マンと会ってしまった】

 

そして、軽い気持ちで見に行った結果、当然ですが「営業マン」に出会います。

 

あなたは洋服でもウインドウ・ショッピングで店員と話しているうちに、はじめは買う気が無かったけど気が付いたら買ってしまっていた経験はありませんか?

 

実は住宅購入でも同じ現象が起きるのです。むしろ大きな買い物過ぎてかえって現実味が薄くなり、衝動買いをしやすいとも言えます。

 

「金額が大きいからまさかすぐに決まらないだろう」という思い込みが多くの悲劇の始まりです。

 

加えて、不動産や住宅業界の営業マンは、ブティックの店員などとは比べ物にならないほどの、日々研修や実地で磨き上げた!?営業スキルを持っています。予備知識のないままに、営業マンに会うことの危険性をどうか肝に銘じてください。

【2-3.状況に煽られてしまった】

「オリンピックで値上がりするから買うなら今」「売れてしまう前に」「たったいまキャンセルで出た」これらはみんな営業マンの常套句です。どこでも誰にでも、オウム返しのように同じように言っていますよ。

 

これらの言葉は、決してあなたのために発せられているのではなく、ノルマを達成するためであったり、夜の街でお姉ちゃんと飲むためだったり、ロレックスの時計や外車を買いたいがために、まさに営業マン自身のために言っている言葉に過ぎません。

3. 絶対に失敗しないために

これらの事例から学べる失敗の原因のすべては「営業マン」です。

営業マンは物件を売るのが仕事です。だから営業マンではなく、心底信頼ができる「不動産のプロ」にエスコートしてもらえばいいのです。

 

 

原因がわかっているのに、どうしてこうも悲劇が繰り返されるのか、それは実は不動産の物件情報や業界のしくみに関する、世間一般の誤解や思い込みです。

 

あなたは、不動産の物件情報は各不動産会社が独自で持っているものと思っていませんか。

 

それはすでに過去の話で、IT化が進んだ現在の不動産情報は、レインズ(REINS)というデータベース上で全国の不動産会社でそのほとんどを共有しているのです。

 

レインズ(REINS)とは、全国の宅地建物取引業者(いわゆる不動産会社)間で不動産情報をパソコン等を端末として情報共有を行う情報システムのことです。

 

レインズへ登録することにより、全国の不動産会社に物件情報が行き渡ります。小さな不動産会社でも市場にあるほぼすべての物件が紹介できる理由はこれです。

 

ですので、インターネットが進化した現在のいい不動産会社は、「全国ほぼすべての物件情報が登録されている業者専用サイトのレインズ(REINS)を惜しみなく閲覧させてくれる不動産会社」ということになります。

 

ちなみに、Google検索などをすると上位に表示をされる、物件検索サイトは、あくまで広告サイトであり正確には「検索サイト」ではありません。

 

サイトを運営している広告代理店は、物件掲載を依頼された不動産会社からの広告宣伝費により、利益を得ています。

 

ですので、同じ物件が広告費を支払った複数の不動産会社から重複して掲載されていたり、売主の事情により掲載を断られるケースも多いため、レインズ登録されているうちのごく一部の物件しか、掲載されておりません。

4.まとめ:物件探しの前に、まずは信頼できるプロを探すことが成功へのカギ

「敵を知り 己を知れば 百選危うからず」ということわざがあります。ここまで読み進めたあなたは、もう不動産情報に対する誤解が解け、まさに「目から鱗」の状態になっているのではないでしょうか。

 

不動産情報のほとんどは、どこの不動産会社でも共通で取り扱っている以上、物件探しをする前に、親身になってあなたの住み替えをサポートしてくれる、信頼できるプロを見つけることこそが、住宅購入の成功のカギを握っていると断言できます。

 

ネットでさまざまな情報が飛び交うようになり、便利になった反面、以前よりもますます情報の質が問われるようになってきました。

 

「何を言っているか」という内容はもとより、「誰が言っているか」ということが重要です。

 

信頼できる情報とは、まさに信頼できる人が発している言葉であると言っても過言ではありません。ですのであなたもぜひ、慌てずにまずは信頼できる人を見つけ出していただきたいと思います。

 

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