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資産価値を決める希少性について

2021年1月19日

資産価値がある物件を考えるうえでは、この要素に加えて「そこにしかない」という希少性があれば鬼に金棒です。なぜならモノの価格が決まる時、そのものが有する品質や魅力といった絶対価値だけでなく、他と比べてどうか?や他にも似たようなものが無いか?という相対価値も重要だからです。

たとえばダイヤモンドは高価な貴金属として知られています。見た目も非常に美しいから、相応の品質や魅力を持っています。ですがこれが、石ころのように地球上に大量にあったらどうでしょうか?現在のような高い値段が付くでしょうか?

なかなか採れない「希少性」というのが資産価値を決める重要なキーワードになるということは、不動産にも当てはまります。世界中のより多くの人が訪れたい、住みたいと思う魅力と、そこにしかない希少性を身に付けているエリアや物件こそ、まさに普遍的な資産価値を有すると考えます。

ではテレワーク化して通勤から解放される時代に、価格が下落してしまうエリアや物件というのはどういうモノでしょうか?これまで話してきた資産価値がある物件の逆をいうと「魅力が無い」「似たようなエリアや物件が他にたくさんある」という物件であると表現できます。

首都圏には駅前にチェーンスーパーなどの商業施設、そしてカフェや居酒屋はどこでも見かけるチェーン店ばかりといった、金太郎飴のように均質で無個性などこにであるような駅や街がたくさんあります。そこに一考の余地があると思います。

一方で今後も住みたいという需要があるエリアもあります。そういうところの特徴は「そこにしかない」個人商店で埋め尽くされた商店街であり、景色が良い海や山など「そこにしかない」魅力があることが大前提であるように感じます。

「通勤ブーム」の終焉

思えば快適とは言えない満員電車通勤も、長い時間軸で見ると半世紀程度の短い間の「ブーム」に過ぎなかったかもしれないのかも知れません。思うに、これとよく似た現象が、私が若かりし頃のスキーブームでした。

1990年代初頭、空前のスキーブームが起きていて、大学生だった私は仲間と冬は毎週末、どこかのスキー場に行っていました。それも快適とは言えない夜行場所で現地に向かい、徹夜で着いて朝から晩まで滑りまくる、という状況でした。

昼はとても美味しいとは言えないカレーを1,500円という高額な値段で買って食べ、泊まるホテルもアルマイト製(死語)の器でやはり美味しいとは言えない、やっつけ仕事の夕食と朝食付きで結構な宿泊代がかかっていました笑

リフトは激込みで、一時間待ちはざらです。滑っている時間よりも寒くて猛吹雪の中でひたすら待つ時間が猛烈に長かった思い出があります。思うにこれって、高度経済成長期からバブル崩壊して、今に至る通勤地獄と被るのです。

結局、あれだけこぞって日本人がスキー場へ向かったスキーブームも終焉を迎え、今は見る影もない状態です。私自身、今からスキーに行きたいか?と聞かれればとても首を縦に触れる心境ではありません。だってあれだけ不快な状況で行き来し、現地でも劣悪な環境とサービスを受けていた印象は拭えないです。

通勤環境もとても良く似ていると思うのは私だけでしょうか?鉄道会社も通勤は無くならないとたかをくくってか、一向に満員電車が解消されることはありませんでした。こうした不快な環境で過ごした体験というのは心に深く刻み込まれますから、テレワークの時代に敢えて電車に乗りたい人がいるでしょうか?

どのようなサービスも、需要に甘えてすべき努力を怠り、そのブームが去ると結果としてしっぺ返しを食らうものです。長い目で見れば、あのバブル時代のスキーブーム同様、満員電車通勤というのも、高度経済成長期から始まった、ほんの半世紀のブームに過ぎなかったと将来、言われるのではないでしょうか?

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