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武蔵小杉にタワマンを買うという大博打

2020年12月11日

実は日本人は無類のギャンブル好きと言われます。

筆頭は宝くじ、そしてパチンコです。どちらも胴元(運営側)にかなりの利益が入るため、やればやるほど負けることになります。

そして生命保険。日本の医療保険制度はとても優れていて、どんな高額医療費がかかろうとも大半は月10万円を超える支出は起きません。

にもかかわらず9割近い国民が何らかの保険に加入している事実は、保険会社が駅前や都心の一等地に超高層の自社ビルを構えていることからも、やはり保険会社という「胴元」が儲かっている証左です。

日本人にモノを売るのは簡単と海外からは言われています。とにかく広告宣伝で欲しいとか必要とイメージさせればよく、理屈は二の次でいいからです。

保険のCMが良い例で誰もが知る有名人の「保険に入っていて良かった」という言葉がいちばん効きます.

60歳前の日本人がガンにかかる確率を調べる人がほとんどいません。調べたら保険料を払うだけ無駄で、その分を貯蓄して備えた方がよほど有利という身も蓋も無い結果が見えてきます。

保険と宝くじは仕組みが非常によく似ていると言われます。確率論からしたら支払った金額よりも受け取る額が相当低いため結局は胴元しか儲からないから、投資に慣れた富裕層はまず手を出しません。

このように日本人は論理より感情を優先して行動することが多いため、理論的には無駄な浪費をしていること気付かず、生涯をかけて資産を失っていく行動をしがちです。

結構「みんながやっているから。」「テレビやネットでよく見かけるから。」という根拠なき理由がまかり通っているのも、「人と同じ」が好きな国民性と言って良いのかもしれません。

不動産でいうと資産を失うハイリスクなものの筆頭は、災害リスクが高いエリアかつ修繕リスクが高いタワマンです。この二つの条件を完璧に満たすのが武蔵小杉、いわゆるムサコタワマンということになります。先の台風による浸水は記憶に新しいですね。

そもそも資産性を重視して富裕層が好んで買うのは高台エリアになります。白金、松濤、広尾などの高級住宅街はすべて地盤良好の高台で、いくら台風や大雨が降ろうとも浸水することはほぼありませんし、木造、鉄筋の際なく地震による建物の倒壊もほぼ心配がありまえん。

武蔵小杉がなぜ浸水したかと言えば、お隣を流れる多摩川が満水になった時の水面よりも地面が低いという、ただそれだけの至って単純な理由です。

「水は高いところから低いところへ流れる」という自然の摂理に従って、浸水したに過ぎないのですから、小学校低学年レベルの理科の知識があればだれでもわかる話です。

いくら行政が排水施設の整備を頑張ったところで、この自然法則にはあらがえません。ですので一度浸水したところは何度も浸水します。こればかりはどうしようもありません。

地形や地盤を無視して、建物ばかりに目がいって住宅購入することは「木を見て森を見ず」ということわざがよく当てはまります。

木=建物、森=エリアです。建物の耐震性や耐久性ばかりに目がいって、建っているエリアの環境や地形、そして地盤に思いがいかないことで「こんなはずじゃなかった」という思わぬ災害や交通事故、そして犯罪というリスクにまみれた人生が待っています。

一般的に犯罪リスクも高台が低く、低地が高いという歴史上、いつの時代も変わらない真理です。たとえば目黒駅と五反田駅はお隣さんですが、高台の目黒と低地の地盤で雰囲気がまったく変わることは、体感した人ならば知っていると思います。

事実、五反田駅周辺マンション内掲示板には酔っぱらいの吐しゃ物の注意書きがあるなど、想像を絶する治安です。

このように不動産は立地がすべてです。加えてマンションは「管理を買え」と言われます。ですから管理費と修繕積立金の積み立て状況の確認や、実際の管理計画を検証してから購入をするのは管理崩壊リスクを避けるうえで必須です。

この点、タワマンは修繕積立金が不足しがちで、管理費の滞納率が高いというデータがあるので避けるのが賢明です。

タワマンは一番古いものでもたった20年ちょっとの歴史しかありません。大規模修繕の経験値が少なすぎるうえ、あれだけ大きな構造物を適切にメンテナンスするには相当の支出が避けられません。

建物とともに、住民も年老いていき年金生活となった時、10万円近い管理費・修繕積立金に耐えられるかは未知数です。

このように武蔵小杉のタワマンというのは、災害と資金計画という二重のリスクに晒され続ける人生が待っています。ギャンブル好きな日本人の中でも特に大博打を打った買い物と言えるのではないでしょうか?

タワマンの胴元はもちろん、建てた不動産ディベロッパーですね。彼らはタワマンバブルに乗じて高値で売り抜け儲けて、リスクとは無縁です。

タワマン業者の社員が誰一人、自宅用にタワマンを購入していないというのは有名な話です。リスクが高すぎる不動産商品であることは、建てた彼らが一番よく知っているのです。

不動産というのは一般の商品と違って、買い方を失敗しても捨てられません。相続問題も生じるものですから特に慎重にする必要があります。

親は自分の好きで買ったんだからまだしも子どもが可哀そう

そんな住まい選びは極力、避けたいものです。住まい選びは生き方選び。この仕事をしていると、どこに住んでいるかでその人がどのような思考をして生きているかが垣間見えます。

目に見える建物ばかりに目がいく人は、人生そのものが行き当たりばったりの日和見主義です。

大切なことは空気のように目に見えにくい、このことは不動産購入にも当てはまります。

結局、住宅購入はその人の生きざまが体現されるものですから、日和見的な考え方や生き方をしている人が、住まい選びだけ成功するということもあり得ないなと日々、感じています。

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